薬師寺

近鉄橿原線 西ノ京駅です。

薬師寺は天武天皇9年(680年)、天武天皇の発願により、飛鳥の藤原京の地に造営が開始され、平城遷都後の8世紀初めに現在地の西ノ京に移転したものだそうです。

本尊は、薬師如来です。

薬師如来は、太陽の昇る東方浄土の浄瑠璃世界を守護する仏様です。

後の持統天皇である鵜野讃良(うののさらら)皇后の病気平癒を祈願して建立されました。

大講堂と呼ばれる建物ですが、修学旅行の学生でいっぱいです。

中は、写真撮影が禁止なので、写真はありませんが、白鳳時代の重要文化財の彌勒三尊像(みろくさんぞんぞう)があります。

彌勒とは、ペルシアのゾロアスター教のミトラという火の神様で、キリスト教ではミカエルとも呼ばれます。

こちらは、金堂と呼ばれる建物です。

この建物の中には、白鳳時代の国宝、薬師三尊像があります。

中央に薬師如来、左右に、日光菩薩と、月光菩薩の三尊です。

お釈迦様の一生が、東回廊の壁に描かれていたので、面白いので載せておきます。

白い像は、帝釈天(インドラ)の乗物で、インドラは、シュメール神話のドゥムジという神様と同一神で、ギリシャ神話では、ゼウスと呼ばれる神様です。

二匹の龍というのも、神道のニギハヤヒとイチキシマヒメのようで、興味が尽きません。

 

この東回廊の外側に、鎌倉時代の国宝の東院堂があって、中に聖観音菩薩像があります。

写真には撮っていません。

東回廊の内側に、白鳳時代の国宝の東搭があります。

こちらは、解体修理中で、幕で覆われていました。

写真で外観を見たい方は、下に薬師寺の公式サイトを載せておきますので、そちらで見てくださいね。

 

こちらは西搭です。

それでは、玄奘三蔵院(げんじょうさんぞういん)に行こうと思います。

薬師寺は、興福寺と共に法相宗(ほっそうしゅう)の大本山です。

法相宗とは、龍樹(りゅうじゅ)の空思想の後に興った唯識(ゆいしき)思想に基ずく大乗仏教の宗派です。

教義は、「手を打てば はいと答える 鳥逃げる 鯉は集まる 猿沢の池」だそうです。

宗祖は中国唐代の慈恩大師(じおんだいし)ですが、宗祖の師匠にあたるのが玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)です。

その為、薬師寺では、玄奘三蔵も始祖として崇めています。

玄奘三蔵とは、西遊記のモデルとなった悟空と一緒に天竺にお経を取りに行ったあのお坊さんです。

玄奘三蔵が最も究めたかった仏教の学問は、唯識教学(ゆいしききょうがく)で、仏陀の悟りを「大円鏡智」(だいえんきょうち)という月に例えた教えです。

漫画の「ドラゴンボール」の主人公の悟空が、月を見て大猿に変身するのは、ここから来ているように思います。

平山郁夫画伯の玄奘三蔵求法の旅をテーマにして描かれた「大唐西域壁画」は、玄奘塔北側にある大唐西域壁画殿に展示してあります。

玄奘三蔵求法の旅を、一日に例えて、「明けゆく長安大雁搭」(朝)から始まって、ヒマラヤの白き峰々を描いた「西方浄土 須弥山(しゅみせん)」(昼)、そして、「ナーランダの月」(夜)に終わります。

須弥山とは、梵語で、スメールと言い、仏教の世界観に出てくる世界の中心とされる山です。

この当時の唐や、天竺(インド)は、シュメール文明を引き継いでいるペルシア文化の影響が大きく、「天」というものに憧れを抱き、天に近い建造物や、山に畏敬の念を持つ時代でした。

シュメールとスメールは、おそらく同じものだと思います。


こちらが、埼玉県にある慈恩寺というお寺より分骨された玄奘三蔵のご頂骨が祀られている玄奘搭です。

修理中のようです。

毎年5月5日に玄奘三蔵のご遺徳を顕影する法要を営み、日没後に、伽藍一面に設置された灯籠に火をともして、万灯供養を行っているそうです。

その準備かもしれません。

お庭に牡丹が咲いていました。

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